おすすめの【戦国時代】歴史小説19選

2022年9月30日

戦国時代が舞台の小説

織田信長、武田信玄、上杉謙信、真田幸村などなど、有名な戦国武将がしのぎを削る群雄割拠の争乱の時代。
歴史が苦手な人でも織田信長や豊臣秀吉の名前は聞いたことがあると思います。歴史小説は歴史を題材にしたフィクションですけれど、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康は本当に実在していて、生きて、天下統一に命をかけていたことを感じとれるとより楽しめると思います。厳しい戦国時代の男達の生き様、女達の生き様を感じとってもらえると幸いです。
戦国時代が舞台となっているお勧めの小説19作品をご紹介します。

「村上海賊の娘」和田竜

村上海賊の娘

<あらすじ>
時は戦国。乱世にその名を轟かせた海賊衆がいた。村上海賊――。瀬戸内海の島々に根を張り、強勢を誇る当主の村上武吉。彼の剛勇と荒々しさを引き継いだのは、娘の景だった。海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女。この姫が合戦前夜の難波へ向かう時、物語の幕が開く――。

生き様を決める決意ができる物語

私は小説は読みますが、歴史小説があまり得意ではありませんでした。しかし、この「村上海賊の娘」は、丁寧なのにとても読みやすく、簡単に読み終わってしまいました。
おそらく一般的な戦国時代が舞台の小説では珍しくフィクションであり、所謂戦国武将ではなく海賊が主役です。ゆっくりと丁寧に詰められて、最後、怒涛のように押し寄せる戦のシーンが楽しいです。
色々な登場人物がでてきますが、ほとんど全ての人物を応援したくなるのも、序盤から至極丁寧に書かれているからこそでしょう。主人公がかっこうよくて、ノンフィクションだったら良かったのに、とさえ思ってしまう出来です。
私のように歴史小説が苦手な方でもぜひ読んで欲しいです。(10代女性)

誰よりも熱く戦国時代を走り抜けた女の物語

主人公の景は、戦国時代に瀬戸内海を席巻した村上水軍の当主・村上武吉の娘です。
女として生まれながらも、男勝りに海賊として活躍しているのですが、時代の渦に巻き込まれ大きな戦に身を投じることになります。戦に挑む中で、誰よりも熱い気持ちで戦う姿と、女ゆえに苦悩する姿に胸が熱くなります。
絶体絶命の状況でも体当たりで巨大な敵に向かっていきがむしゃらに壁を乗り越える姿に、生きる希望をもらえる作品です。(30代女性)

「黒牢城」米澤穂信

黒牢城

<あらすじ>
本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。

歴史の裏を書く戦国推理小説

戦国時代の籠城中の城が舞台で、そこに幽閉中の軍師が探偵役になる歴史物かつ推理物でボリュームがあって読み応えがあった。実際にいた人物をモデルにしてあるので歴史小説として読んでいっても楽しめるし、歴史を知らなくてもその時代の習わしや武士の矜持など読んでて面白くて勉強になる。時代特有の殺伐とした仄暗い感じがずっと漂っているのが良い。(30代女性)

「大友二階崩れ」赤神諒

大友二階崩れ
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大友家の内乱と吉弘家の忠義

立花宗茂が好きな人にはぜひ読んでもらいたい小説。もちろん小説ですので史実より創作された物語です。立花宗茂は出てこないですが、祖父の吉弘鑑理のお話です。
戦国時代が好きな人でも「大友二階崩れ」という出来事を知らない人は読んでみても楽しいと思います。
大友家の御家騒動に巻き込まれる吉弘鑑理の奮闘劇は戦国乱世を生き抜く厳しさを感じました。立花宗茂の義父である若き日の立花道雪の貫禄と実父である幼い高橋紹運も少し出てきて可愛いかった。(40代男性)

「新三河物語」宮城谷昌光

新三河物語

<あらすじ>
永禄3年(1560年)、織田信長の急襲に遭って、今川義元は桶狭間に斃れた。義元に頤使されていた松平元康(家康)は父祖の地、西三河は岡崎城に戻り、悲願の独立を果たす。だが息継ぐ間もなく、一向一揆が勃発。血縁者が敵味方に分かれ、相争う国力消耗の未曾有の事態から家康を救ったのは大久保忠俊(常源)だった。忠俊率いる大久保一党の決死の進退が深く胸を打つ戦国歴史小説の巨編。

徳川家康を信じて支えた大久保一族の行く末

大久保一族になったつもりで家康推しになる前半と、そこから推しが推せなくなっていくような凋落が悲しみと虚しさの残る後半。
秀吉も晩年になるにつれて人が変わったかのような言動となってきていましたが、幼少のころから苦境を経て忍耐強く思慮深かった家康が、後年になるにつれてそれらの長所が執念深く猜疑心が強い粘着体質へと変わっていく姿が物語の前半と後半での明暗を分けているようで、ある種の『老い』を感じさせられて、小説でありながら家康は実際そうだったのではと思わせるリアルさがありました。(40代女性)

「火天の城」山本兼一

火天の城

<あらすじ>
信長の夢は、天下一の棟梁父子に託された。安土山のいただきに巨大な城を築け、天にそびえる五重の天守を建てよ! と命じられた岡部又右衛門と息子の以俊は、その難題を形にする、前代未聞の巨大プロジェクトに挑む。いまだかつてない、南蛮風の天守にせよ。見上げれば、思わず掌を合わせとうなるほど秀麗な…信長の野望と大工の意地、情熱、創意工夫、膨大な労力──すべてをのみこんで完成した、安土城。その築城の真相に迫る、松本清張賞受賞作。

戦国時代の裏舞台を描いたドキュメンタリー小説

戦国時代が舞台の小説といえば、武将を描いたものが圧倒的に多い中、この小説の主人公は匠たちです。
戦が日常茶飯事だった戦国時代は城が飛躍的に発展した時代です。
それはもちろん軍事上の必要性からではありますが、織田信長が戦国の覇者として台頭し始めた頃からは、自らの強大さを世間に誇示し、精神的に人々を支配してその上に君臨する、日本の最高位者の象徴でもありました。
安土城はその最たる城ですから、信長にとっては自分の分身といってよい重要な城だった筈です。
そしてそんな重要な城を建てるのは当然信長自身ではありません。
それは城造りの匠たちであり、彼らがこの小説の主人公なのです。
信長そのものと言っても過言ではない城を造る。
それが如何に重大な行為であるかは、信長自身が命を懸けて人生を生きていることからも想像ができます。
それはただ単に建物を建てる、ということではありません。
命を懸けて生きる信長を造ることに他ならず、当然、匠たちはその人生を、命を懸けてその仕事に取り組まねばなりません。
そんな城造りの匠たちの必死の生き方を、見事に描き出したこの小説は、戦国時代の舞台裏の実際を覗き見ている面白さがあります。(60代男性)

「利休にたずねよ」山本兼一

利休にたずねよ
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利休の茶道の道の原点を探る物語

この小説は、直木賞受賞作品です。
面白いのは、この小説が利休が秀吉に命じられて切腹する日から始まり、章を追っていくに連れて、過去へ遡るように書かれていることです。また、それぞれの章は違った人々の視点で描かれており、戦国の有名人も多く名を連ねています。
また、利休のおもてなしの精神も素晴らしく、例えば、春の食材が通常よりも早く手に入るように、土にござを被せてそこだけ暖かくさせるなどの工夫が面白いなと思いました。
千利休や茶道に関心のある方はもちろん、歴史好きの人も十分に楽しめる作品だと思います。(30代女性)

「利休にたずねよ」の関連テーマ

「伊達政宗」山岡荘八

伊達政宗

<あらすじ>
永禄10年(1567)、伊達政宗は奥羽米沢城に呱々(ここ)の声をあげた。時は戦国、とはいえ、一代の英雄織田信長によって、その戦国も終熄に向かい始めていた。しかし、ここ奥羽はこの時期こそ、まさに戦国動乱のさなかだった。激動の時代を生きた英傑独眼竜政宗、その生涯の幕開けである――。

戦国時代を生き抜いた、愛すべきへそ曲がり

独眼流で有名な伊達政宗の一生を描いた作品。都から離れた東北地方で生まれたことや、他の有名な戦国武将たちよりも生まれたのが遅かったために、天下統一に関わることができなかった東北の雄。母親からの愛情を得られずへそ曲がりではあるが、彼はもちろん、彼に関わる人たちは皆、魅力的である。
ある時点から天下の様子を遠くから見ているように感じられる。そのため、戦国時代終わりから江戸時代の初めにかけての流れを理解するのに、とても良い作品であると思う。(40代女性)

「関ヶ原」司馬遼太郎 

関ヶ原

<あらすじ>
東西両軍の兵力じつに十数万、日本国内における古今最大の戦闘となったこの天下分け目の決戦の起因から終結までを克明に描きながら、己れとその一族の生き方を求めて苦闘した著名な戦国諸雄の人間像を浮彫りにする壮大な歴史絵巻。秀吉の死によって傾きはじめた豊臣政権を簒奪するために家康はいかなる謀略をめぐらし、豊家安泰を守ろうとする石田三成はいかに戦ったのか?

戦国時代の勝利者である徳川家康の戦いの様子を描いた作品

豊臣秀吉の後継者を目指す徳川家康と、豊臣家を守るため家康打倒を目指す石田三成との壮大な駆け引きが極めて興味深く描かれています。
特に石田三成を助けるため行動を起こす親友の大谷吉継の固い決意や、会津の直江兼続と構想した、徳川家康を東西から攻撃する構想を家康が実にうまく切り抜けていく様子は戦国時代を生き抜いてきた武将たちの知恵が凝縮された感じがしました。戦国時代の小説としては合戦の様子もリアルに記述されていて読みごたえがあると感じます。(50代男性)

「王の挽歌」遠藤周作

王の挽歌

<あらすじ>
肉親も家臣も、いや自分自身さえ信じられぬ……。豊後の名門守護・大友家の統領として、内紛に悩まされながらも、北の大内、毛利と戦い、北九州六国に領土を広げた大友宗麟。戦乱にあけくれた生涯は、また時分自身との闘いの日々であったが、わずか数日のザビエルとの出会いが宗麟の心の闇に一筋の光を投げかけていた。戦国の世にもう一つの王国を求めた切支丹大名を描く歴史長編。

あまりにも小説的な大友宗麟の人生

有名なキリシタン大名「大友宗麟」の人生を「沈黙」などキリシタンを扱った小説に定評のある遠藤周作が描いた作品です。
その人生は、豊後国の安定と大友家最大領土の形成、毛利元就との激闘などの戦国大名としての明の部分、粛清した家臣の妻を自分のものにしたり、敗戦のショックで家出をしてしまうなどの暗の部分を中心に形成されています。

さらにフランシスコ・ザビエルの来訪によるキリスト教への傾倒、それに伴う神社宮司の娘である妻との宗教感の不一致による当時としては珍しい離婚劇、耳川の戦いの敗戦による凋落と続いていきます。
それぞれの場面の振り幅があまりに小説的で大友宗麟という人物の波瀾万丈の人生を興味深く読み進めることができる作品です。(40代男性)

「真田太平記」池波正太郎

真田太平記

<あらすじ>
天正10年(1582年)3月、織田・徳川連合軍によって戦国随一の精強さを誇った武田軍団が滅ぼされ、宿将真田昌幸は上・信二州に孤立、試練の時を迎えたところからこの長い物語は始まる。武勇と知謀に長けた昌幸は、天下の帰趨を探るべく手飼いの真田忍びたちを四方に飛ばせ、新しい時代の主・織田信長にいったんは臣従するのだが、その夏、またも驚天動地の時代が待ちうけていた。

真田家の活躍を中心とした歴史ロマン

まず読み物として面白く、歴史好きではなくてもしっかりと楽しめることがおすすめです。
さらに歴史好きであれば、武田家滅亡から真田信之の死まで長期にわたる間の歴史的事実とフィクションを織り交ぜながら話が展開されるのでとても面白いと思います。また、小説自体長編であり、一通り読み終えるとまた一巻から読みたくなる魅力もあります。(40代男性)