胸弾む幻想世界へ! おすすめのファンタジー小説15選
しゃばけ
作者: 畠中恵
<あらすじ>
江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに。若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う……。愉快で不思議な大江戸人情推理帖。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。
江戸町人と妖の時代劇ファンタジー
江戸時代の薬問屋を舞台に、主人公の若旦那が他には見えない付喪神などの妖怪(あやかし)たちとさまざまな事件を解決していく時代劇ファンタジー。
主人公のちょっとひ弱なだけどいざという時に頼りになる人柄やそれを取り囲む個性豊かな妖たちとのやり取りにほんわかと心が温まるとことが多いストーリー。個性豊かな登場人物だらけなので、とんちんかんな事を言っていたり、江戸の町特有の洒落の利いた会話が飛び交う物語は読んでいて笑いながら思わず上手い!と感心してしまう。(30代女性)
煌夜祭
作者:多崎礼
<あらすじ>
魔物が歩き回り、人を食うという冬至の夜――漂泊の語り部たちが、十八の諸島を巡って集めた物語を、夜を徹して披露する煌夜祭が開かれる。そして今年も冬至の夜が訪れ、廃墟となった島主屋敷跡で、二人だけの煌夜祭が幕を開けた。
語り部たちによって紡がれる、魔物にまつわる物語
とある島々に伝わる、「煌夜祭」と呼ばれる儀式。そして、島々に存在する魔物。これらにまつわる連作形式の小説です。語り部たちが島々の歴史、逸話を語っていく中で、実際に作中の世界が存在しているかのような圧倒的なリアリティを持って迫るものがあります。
幻想的な設定ながら描写は非常に緻密で、世界観にすぐ没頭することが出来ました。語り部たちは顔を隠し夜通し物語を語るのですが、最後に明かされる大きな秘密に驚きと感動をもらいました。人の生き死にとは何か、物語はなぜ生まれるのか、そんなことを考えさせられる一冊です。(20代女性)
後宮小説
作者:酒見健一
時は槐暦元年、腹上死した先帝の後を継いで素乾国の帝王となった槐宗の後宮に田舎娘の銀河が入宮することにあいなった。物おじしないこの銀河、女大学での奇抜な講義を修めるや、みごと正妃の座を射止めた。ところが折り悪しく、反乱軍の蜂起が勃発し、銀河は後宮軍隊を組織して反乱軍に立ち向かうはめに……。さて、銀河の運命やいかに。第一回ファンタジーノベル大賞受賞作。
架空の中国ファンタジーを文豪が描いたらきっとこんな感じになる
架空の中国(唐代?明代くらいのイメージです)の後宮を舞台にした、第一回ファンタジー小説大賞のグランプリ作品です。30年ほど前の作品ですが今読み返しても見事な隙のない作品です。
エンディング近くに「後宮」で起きた「つまらない事を書き留めた(=小説)」とのネタバレ的な表現が登場しますが、とんでもない!文体は終始中島敦を彷彿とさせる格調ある文体。大国の衰亡を、後宮に選ばれた上がった主人公の銀河の心身の成長と共に描かれます。単純な恋愛要素はほぼ薄く、後宮のドロドロした暗闘もメインではありません。女とは何か?命とは何か?国とは何か?歴史とは何か?を静かに深めた傑作です。シリアスとコメディは絶妙に織り上げられ、読後感の涼やかさは群を抜く傑作です。(40代女性)
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幽落町おばけ駄菓子屋
作者:蒼月海里
<あらすじ>
大学生の御城彼方が1年限定契約で幽落町の住人になったのは去年の春のこと。そろそろ約束の期限が近づいてきて、なんだか落ち着かない彼方だが……。ほっこり温まる謎とき物語!
死者や妖怪も出てくる不思議な駄菓子屋のハートフル物語
御城彼方という主人公が幽落町を有楽町と勘違いをした事から、現世とあの世の中間に位置する場所で不思議な住人たちと出会っていく描写が、怖くなくファンタジーっぽい所が気に入っています。大家さん的な存在の水脈の落ち着いた佇まいの様子と、亡くなった人の問題を彼方も巻き込んで解決していく所も面白いです。最後に彼がこの不思議な地に来た理由が気になる所です。(50代女性)
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宮廷のまじない師
作者:顎木あくみ
<あらすじ>
白髪に赤瞳、幼い頃より鬼子とおそれられた市井のまじない師・珠華と絶世の美男子である若き皇帝・白焔が、新たな怪異の謎に迫る。 国の一大行事「星の大祭」を前に、幽霊の噂が人々を騒がせているという。真偽を確かめるべく、珠華は白焔とともに祭りの開催地である栄安市へと向かうが……。
呪いと霊が跋扈する後宮、オカルト騒ぎの収拾にゴーストバスター&お局退治の達人、珠華は今日も大忙し
民間の女の子が後宮にあがる中華ファンタジーです。
占い、まじない、主人公独特の力、そして幼なじみはマヌケ、皇室の男性たちは才色兼備で容姿端麗とよくある話に見えますが、ストーリーがしっかりしている上、雰囲気が華やかでどんどん読んでいけます。ヒロインが負けず嫌いで周囲のイケズをものともせず蹴散らす話が大好きならこれはオススメです。(50代女性)