山を舞台としたオススメ山岳小説&エッセイ18選

山を舞台とした小説&エッセイ

山々は単なる地理的な存在を超えています。それは冒険の出発点であり、新たな発見への扉であり、自らの心と向き合う深い旅の舞台なのです。

雄大で神秘的な自然に囲まれながら、人は山という存在を通して自分自身の内面と対峙します。美しい絶景に息を呑む瞬間もあれば、予期せぬ困難に直面し、心と身体の限界に挑む瞬間もあるでしょう。山岳文学はまさにそのような人間の内外の葛藤を見事に映し出し、私たちの心を揺さぶります。

広がる山脈の絶景に感動し、荒々しい自然の驚異に圧倒され、そこで出会う人々との触れ合いに心が震える。そして何より、自らを見つめ直し、新たな自分へと生まれ変わるような自己超越の体験がそこにはあります。

気軽で楽しい山登りのエッセイから、命を懸けて挑む本格的な登山物語、さらには手に汗握る山岳ミステリーまで――。ここでは、多様な魅力に溢れた18作品をご紹介します。

山の頂きを目指す道のりは、それ自体が壮大なドラマ。これらの作品を通じて、読者の皆様もまた、人生を変えるような新たな視点と感動を手にすることでしょう。

「マークスの山」高村薫

<あらすじ>
「マークスさ。先生たちの大事なマ、ア、ク、ス!」。あの日、彼の心に一粒の種が播かれた。それは運命の名を得、枝を茂らせてゆく。南アルプスで発見された白骨死体。三年後に東京で発生した、アウトローと検事の連続殺人。“殺せ、殺せ”。都会の片隅で恋人と暮らす青年の裡には、もうひとりの男が潜んでいた。警視庁捜査一課・合田雄一郎警部補の眼前に立ちふさがる、黒一色の山。

過去と今を結びつける残酷な現実

過去の山岳事故から紡がれるミステリーです。連続殺人事件を紐解く内に過去の山岳事故の全容が明らかになっていくストーリーです。上下2巻からなる非常に読み応えのある内容の詰まった小説です。今起きている事件と過去の山岳事故を行ったり来たりするストーリー展開は読んでいて全く飽きることがありません。読了後、伏線の回収にもう一度読んだくらいおもしろい小説でした。

「マークスの山」の関連テーマ

「山女日記」湊かなえ

<あらすじ>
こんなはずでなかった結婚。捨て去れない華やいだ過去。拭いきれない姉への劣等感。夫から切り出された別離。いつの間にか心が離れた恋人。…真面目に、正直に、懸命に生きてきた。なのに、なぜ?誰にも言えない思いを抱え、山を登る彼女たちは、やがて自分なりの小さな光を見いだしていく。新しい景色が背中を押してくれる、感動の連作長篇。

人生に向き合う女性たちの物語

女性が抱える複雑な心境を巧みな筆致で描いた、著者の思いが詰まった一冊です。年齢や境遇がそれぞれ違うように、悩みや考えていることもまた人によって様々です。
本作では、山を登ることに決めた彼女たちの切実で現実味のある心境にフォーカスすると同時に、厳然とした自然の美しさにも目を向けているため、読み応え抜群です。

「山女日記」の関連テーマ

「近畿地方のある場所について」背筋

近畿地方のある場所について

<あらすじ>
情報をお持ちの方はご連絡ください

近畿地方のある場所にまつわる怪談を集めるうちに、恐ろしい事実が浮かび上がってきました。

怖い行動には何がが必ずある

著者とある男性とで関連する取材を一緒に確認し、内容を見進めてバラバラだったものをまとめていく。いろんな視点からの話が読み進めていくうちに繋がっていき、近畿地方のある場所について何が起こってどんな影響を受けた人がいるのか、及ぼしているのかを整理しながら解っていく。ただただホラー的な怖いというわけではなく、人の怖さや恐れさも詰まった内容となっており面白く読み進めていける。(20代女性)

「バッグをザックに持ち替えて」唯川恵

<あらすじ>
取材のためのはじめての登山が辛くて、山なんてやめた…はずだった。それが浅間山を皮切りに、谷川岳や八ヶ岳、そして富士山、ついには標高五〇〇〇メートルを超えるエベレスト街道を歩くまでに。何が楽しいのか?辛いのにどうしてまた登ってしまうのか?山道具から下山後の宴会まで、さまざまな山の魅力を描いた傑作エッセイ。

登山初心者への指南書

肩越しの恋人など恋愛小説家として有名な唯川恵さんが、ご自身の経験を綴った物語です。暑さに弱い愛犬のために軽井沢への移住を決意した著者がひょんなことから浅間山に登ります。しかしあまりのしんどさに断念、もう二度と登山はしないと決めていたのですが、愛犬の死をきっかけに再び山へと挑戦していくストーリーが描かれています。

「孤高の人」新田次郎

孤高の人

<あらすじ>
昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎"。その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。

孤独な登山家の情熱と葛藤の山岳小説。

物語は、加藤文太郎が日本アルプスを単独で踏破するところを中心に展開されますが、彼の山に対する純粋な愛情と、登山に対する強い意志、困難に立ち向かう様子、孤独な挑戦に挑む姿勢は、心に響くものがあって感動しました。
孤高の人は、単なる山岳小説ではなく、人間の生き方や信念について考えさせられますので、登山に興味がある人だけでなく、人生において何かに挑戦したいと思っている人にもおすすめです。(40代男性)

「ヒルクライマー」高千穂遙

ヒルクライマー

<あらすじ>
「なぜ坂に登るのか?」
それはロード乗りが必ず一度は取りつかれる問いだ。読んでから登るか、登ってから読むか? 答えは挑んだもののみに与えられる。

沼にはまると生き甲斐ができる

ただ山を登るだけでも山頂が近づくにつれて大変なのに、40歳過ぎの男性が自転車で山を登る競技にのめり込んでいく様が、興味深く面白かったです。
小説の舞台も多摩地区と、親しみとリアリティがあり、奥さんや娘さんの反応や、同じ目標を持つ競技仲間のサポートも、意外性のあるドラマはないものの、生き生きと描かれていて、小説に引き込まれました。(50代女性)

「生還者」下村敦史

生還者

<あらすじ>
ヒマラヤ山脈東部、カンチェンジュンガで雪崩が発生。日本人7名が巻き込まれる惨事となった。犠牲者の一人・増田謙一の弟である直志は、兄の遺品を整理するうち、ザイルに細工がされていたことに気づく。死因に疑問を抱く中、兄の登山隊に関係する二人の男が相次いで奇跡の生還を果たす。真相がわかるかと期待した直志だったが、二人は全く逆の証言をし……。雪山という密室を舞台にいくつもの謎が絡み合う緊迫の山岳ミステリー.

ヒマラヤの雪山で兄の死の真相を追う弟が、?生還者の相反する証言に翻弄されるミステリー

読み終えた後、胸に残ったのは「真実とは何か」という問いでした。物語は、ヒマラヤで雪崩に巻き込まれた事故を巡り、亡き兄の死に隠された謎を追う弟・直志の姿を描いています。
生還者二人の証言が食い違う中、彼がどんどん真実に迫っていく姿に引き込まれました。雪山という過酷な環境での描写がリアルで、登場人物たちの苦悩や葛藤が痛いほど伝わってきました。
特に最後のどんでん返しには驚き、しばらく余韻が残りました。謎解きだけでなく人間ドラマとしても心に響く作品でした。(30代男性)

「青春を山に賭けて」植村直己

《あらすじ》
大学時代、ドングリとあだ名された著者が、無一文で日本を脱出し、五大陸最高峰に初登頂し、アマゾン筏下りに成功するまでの青春記

植村直己の青春冒険記

植村直己の破天荒な生き方に感動し貪り読んだのを覚えています。彼は考える前に動いています。全くの無一文で日本を出て、現地で一生懸命働き、お金を貯めて登山に臨みました。輝かしい彼の実績でもある五大陸最高峰に初登頂した時の青春冒険記と言えます。彼の持つ凄まじいパワーに満ちた夢へ挑戦は、私たちにも力強い勇気を与えてくれます。

空へ 悪夢のエヴェレスト

作者:Jon Krakauer

空へ 悪夢のエヴェレスト

<あらすじ>
1996年3月のネパール入国からベースキャンプ設営、順次キャンプを延ばし、5月10日の大量遭難にいたるまでを、各国の公募隊参加者の動向や彼らの証言をもとに組み立てられた山岳ノンフィクションです。

自然界の恐ろしさと山に魅了された愚かな人々

著者のジョン・クラカワーさんは登山家でもあり、小説内容はノンフィクションです。
ノンフィクションだからこそ、リアリティがあり読み手をハラハラドキドキさせ最後まで一気に読んでしまいました。この本は映画化もされているので、比較的読みやすさもあると思います。
小説なので、もちろん映像はありませんが、頭の中で実際に目にしているかのような映像を思い浮かべることができます。(30代女性)

満天キャンプの謎解きツアー かつてのトム・ソーヤたちへ

作者:高野結史

満天キャンプの謎解きツアー かつてのトム・ソーヤたちへ

<あらすじ>
キャンプ飯が評判のアウトドア・ツアー会社「満天キャンプ」。
ある事件を通して常連となった刑事の霧谷歩子はそこで様々な謎に遭遇する。
バーベキューの最中起きた奇妙な誘拐、死体が消えると噂の山、高級別荘地の窃盗団。
キャンプガイド・天幕包助がアウトドア知識と料理の腕前を活かして事件を解決し、関係者の心を癒やす、爽快アウトドア・ミステリー。

本当の殺人犯は誰なのか、歩子が信頼する天幕ではないのかという疑問を抱えながら、読み進められる推理小説です

キャンプのツアーに参加することになった主人公の霧谷歩子が、謎の殺人事件に遭遇してしまうのというストーリーです。主人公の霧谷歩子の職業は、刑事という異色の設定になっています。その歩子が、信頼する青年、天幕との関係が気になりつつも、殺人事件の謎は、人が目を止めない小さな事柄から、謎を解いていくという面白い話の展開に、にこやかに読み進める重くない推理小説です。(60代女性)