名探偵も登場、海外ミステリ小説おすすめの傑作17選

2022年8月9日

海外ミステリ小説

モルグ街の殺人

作者:エドガー・アラン・ポー

モルグ街の殺人

彼がいなければ、ホームズもポワロも金田一も生まれなかった――世界初の推理小説「モルグ街の殺人」

モルグ街で起きた、密室殺人の謎

モルグ街で殺人が起きて、すぐに警察などが駆け付けたのにも関わらず、犯人がどうやって現場から逃げたのかがとても気になりました。探偵がその調査に乗り出してから読み進めても、読み手にはなかなか密室のトリックだけでなく、犯人の見当すらつかないので読んでいてハラハラしました。短編ながらも最後まで、読みたくなってしまう内容でした。(30代女性)

「モルグ街の殺人」の関連テーマ

わらの女

作者:カトリーヌ・アルレー

わらの女

<あらすじ>
34歳独身のドイツ人女性ヒルデガルトは、ある朝、新聞の求縁広告の一つに目を奪われた。「当方大資産家、良縁求む。願わくはハンブルク出身、未婚、だが世間知らずでなく、身寄りもなく…」すべてはここから始まった。知性と打算に裏打ちされた手紙が功を奏し、大富豪の妻の座は目前だった。ミステリ史上に燦然と輝く、精確無比に組み立てられた完全犯罪の物語。

最後まで気を抜けない海外ミステリーの古典

「わらの女」は人気海外ミステリーであるだけでなく、映画化もTVドラマ化もしているので、原作小説を読んでいなくてもご存知のかたも多いかもしれません。
天涯孤独のヒロイン、ヒルデガルトは新聞広告がきっかけで大富豪の妻となるのですが、それからの展開はミステリーとして緊迫感があり、とても読み応えがあります。
昔フジテレビでやっていたTVドラマ版(ドラマ版タイトルは「美しい罠」)は、かなりアレンジをしているので、ぜひ原作小説である「わらの女」もすすめたくなる、そんな思いをいだかせる、名作ミステリーです。(40代女性)

ポアロのクリスマス

作者:アガサ・クリスティー

ポアロのクリスマス

<あらすじ>
聖夜に惨劇が! 一族が再会した富豪の屋敷で、偏屈な老当主リーの死体が発見される。部屋のドアは中から施錠され、窓も閉じているのに、犯人はどうやって侵入したのか? 休暇返上で捜査にあたるポアロは被害者の性格に事件の鍵が隠されていると考えるが……クリスマス的趣向に満ちた注目作。

意外な犯人に、「お前かい」と思わずツッコんでしまう物語です

この作品を読んで、犯人がわかるところまでいくと、意外過ぎて「お前かい」とツッコんでしまうでしょう。
クリスマスの日に密室で殺された老富豪は、非常にクセがある人物で、恨まれそうなことばかりしているので、周りは犯人候補だらけです。クリスマスのパーティに、数年ぶりに呼ばれたり、はじめて呼ばれてきた人がいるので、本人かどうかも疑わないといけないです。この作品の密室のトリックは、すぐわかる人が多いと思います。しかし、犯人を見つけるには、人と人とのつながりや、不自然な行動などを注意深く読まないといけません。意外な犯人に、びっくりする作品です。(20代男性)

ブラックサマーの殺人

作者:M・K・クレイヴン

ブラックサマーの殺人

<あらすじ>
過去に手掛けた事件に冤罪疑惑が持ち上がり、刑事ポーは窮地に立たされるが……『ストーンサークルの殺人』に続くシリーズ第二作

死んだはずの女が生き返る謎の事件

「娘を殺した」という理由である男を逮捕したものの、6年後にその娘が突如現れるというストーリーです。殺人を疑われた男はどう見ても怪しいのに、冤罪の証拠は次々と出てくるので、冤罪なのか何か裏があるのか、先が全然読めません。冤罪事件を引き起こしてしまったかもしれないと悩みながら、事件を再度調べ直す主人公・ポー部長刑事に思わず「頑張れ」と応援したくなります。また、ポーの相棒は天才だけど人付き合いがうまくない女性分析官。二人の友情には心が温まります。(40代女性)

刑事マルティン・ベック 笑う警官

作者:マイ・シューヴァル

刑事マルティン・ベック 笑う警官

<あらすじ>
市バスで起きた大量殺人事件。被害者の中には殺人課の刑事が。若き刑事はなぜバスに乗っていたのか? 唯一の生き証人は死亡、刑事マルティン・ベックらによる、被害者を巡る地道な聞き込み捜査が始まる――。

地道で地味な捜査の果てにたどり着く真実

マルティン・ベック・シリーズの「本格古典警察小説」で、スウェーデンの首都ストックホルムで発生した大量殺人事件において、拳銃を握りしめたまま死んでいた部下を発見した刑事の物語です。
様々なエピソードが絡みつきながら、ストーリー展開が目まぐるしく変化していきますが、それらの小さなピースをかき集めて徐々に事件の真相に迫っていく様子から目が離せなくなっていく警察小説の金字塔ともいえる名作です。(40代男性)

アリバイのA

作者:スー・グラフトン

アリバイのA

<あらすじ>
わたしのオフィスを訪ねてきたのは、8年間の刑務所暮らしを終えたばかりの女だった。彼女ニッキは有能な弁護士である夫を毒殺した科で有罪を宣告されたのだが、わが身の潔白をなんとしても証明したいというのだ。興味をおぼえ、いま一度当時の事件の洗い直しを始めたわたしは、そこで意外な事実に気づいた。事件に関連のある事務所で働いていた若い女性会計士が同時期に同じ毒薬を飲んで死亡していたのだ―年齢32歳、離婚歴2回、南カリフォルニアのサンタ・テレサに事務所をかまえる女探偵キンジー・ミルホーン登場!

自立した女性が真摯に事件に向き合い、泥臭くも真実を追い求める物語

有能だけど、何処か泥臭い。足で捜査をするタイプの女性探偵が主人公の小説です。
元警察官ですが、諸事情により探偵になったため、捜査方法は極めて警察のやり方を踏襲しています。ですが、女性ながら、男性社会でも逞しく生きていき、どんな泥臭い、細かい事でも積み重ね真実を追求する姿は惹かれるものがあります。
またプライベートでも自立心が旺盛ながら、少々ずぼらな所があり、人間味があって好感が持てます。そんな主人公のシリーズの一作品目として、この作品は読んで損する事はなく、むしろシリーズの続きを読みたくなる事間違い無しです。(30代女性)

利腕

作者:ディック・フランシス

利腕

<あらすじ>
〔競馬シリーズ〕片手の敏腕調査員シッド・ハレーの許にまいこんだ昔なじみの厩舎からの依頼――所属の有力馬が、次々と原因不明のままレース生命を断たれるというのだ。調査に乗り出したハレーを襲ったのは、彼を恐怖のどん底へ突き落とす脅迫だった。

シッド・ハレーは一度死に、そして蘇る

英国の元トップジョッキーだった片手の敏腕調査員シッド・ハレーが、競馬界の不正に立ち向かう、競馬シリーズにおける伝説の名作。
ディック・フランシスの作品は、主人公の男が恐怖や苦痛に立ち向かう、マゾヒズムにも通ずる自分との闘いの描写が魅力ですが、この作品は、自分の利腕を失うかもしれない恐怖に一度は屈してしまうシッドがもう一度立ち上がる、自分との闘いがテーマになっています。
黒幕の男の圧倒的な威圧感はリアリティがあり、シッドとともに、我々読者もその男に恐怖します。ラスト付近の前妻ジェニーとの会話は名文で、原語でも読みたくなりました。(40代男性)