おすすめの【戦国時代】歴史小説19選
「江(ごう)姫たちの戦国」田渕久美子
<あらすじ>
幼い頃に戦乱で父母を亡くし、幾度もの結婚を余儀なくされながら、将軍正室にまでなった浅井三姉妹の三女・江。信長を伯父、秀吉を義兄、家康を義父とした江は、戦国を代表するスーパーセレブであった。戦国から江戸への移り変わりを、常に時代の中心点で直に目撃した、江の波瀾の生涯を、田渕久美子が書き下ろす。
江の目を通した家族や武将たちの人生
市の娘・江目線で綴られているので、堅苦しくなく戦国時代の移り変わりを女性の立場で読んでいく事ができたのが良かったです。この時代に女性として生きて行く事の不安や葛藤が身近に感じられつつ、家族のきずなの強さや愛にも触れられているのも素敵でした。私には遠い存在だった信長なども目の前で見ている気にさせられたのも気に入っている点です。(50代女性)
「出雲の阿国」有吉佐和子
<あらすじ>
歌舞伎の創始者として不滅の名を謳われる出雲の阿国だが、その一生は謎に包まれている。日本芸能誌の一頁を活写し、阿国に躍動する生命を与えた渾身の大河巨篇。
踊りへの情熱に生きる、芸の道の物語
桃山時代を舞台に、出雲阿国の踊り子としての一生を描いた作品です。
芸の道に生きた人の人生記なので、戦や戦いの描写はほぼありませんが、侍以外の庶民・芸人の目線から戦国の世界・社会を見るのは割と新鮮で、個人的には武家の目線より共感しやすい気がします。
踊りに情熱の全て、生命の全てを注ぐ真っすぐな阿国の生き様は絶対に現代人の心も揺らすほど、とにかく熱いです。阿国が駄目な夫に振り回されるくだり(結構長い)は読んでいて嫌な気分になりますが、それ以外は有吉佐和子さんらしい繊細で女性的な描写もたくさんあって、読んでいて楽しい作品です。(30代女性)
「国盗り物語」司馬遼太郎
<あらすじ>
世は戦国の初頭。松波庄九郎は妙覚寺で「知恵第一の法蓮房」と呼ばれたが、発心して還俗した。京の油商奈良屋の莫大な身代を乗っ取った庄九郎は、精力的かつ緻密な踏査によって、国乱れる美濃を<国盗り>の拠点と定めた! 戦国の革命児・斎藤道三が、一介の牢人から美濃国守・土岐頼芸の腹心として寵遇されるまでの若き日の策謀と活躍を、独自の史観と人間洞察で描いた壮大な歴史物語の緒編。
名を馳せた武将もまた1人の人間である
斎藤道三編と織田信長編があり、おすすめは織田信長編です。信長編とは言いながら、明智光秀の視点で物語が進んでいく事が非常に面白く、新しい感覚でありました。
光秀にフォーカスして行く事で、逆に今まで見えていなかった信長の一面がゆっくりと浮かび上がって行く。人間には色々な面があると言う当たり前のことを考えさせてくれる秀逸さがあります。(20代男性)
戦国時代の名将の生涯
司馬 遼太郎が書いた歴史小説だけあって、登場人物の心理描写や会話も巧みで感動しました。
戦国時代の名将である斎藤道三の生涯を描いているのですが、農民の出身から美濃国の守護代にまで上り詰めたストーリーと、織田信長や足利義昭との関わりが印象に残りました。特に、斎藤道三の人間性や政治手腕、戦略や戦術などを詳細に描き出している部分がおすすめです。(50代男性)
「国を蹴った男」伊東潤
<あらすじ>
不条理な世を渡る武器は、気骨と果断。利に生きるか、義に死すか。敗れざる者たちの魂の咆哮。“豪腕作家”の凛然たる戦国小説集。いま、もっとも注目される歴史作家が満を持して放つ! 武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉――天下に手を伸ばした英雄たちの下、それぞれの一戦に臨む者たちの、生死の際を描く! 伊東潤、一戦ここにあり!
信念を貫き通し散っていった男たち
戦国時代スポットが当たらなかったが精一杯生きた武将の短編集。敗者からの目線から描いた乱世。脇役として生き抜いた武将の信念。使命を全うし、散っていった武将が儚げであるが頼もしく勇敢に感じました。私が好印象であった直江兼続が悪人だったのが残念でしたが面白かった。この角度から切り取った作品は異色で好きな作品です。(50代女性)
「戦国自衛隊」半村良
<あらすじ>
日本海側で大演習を展開していた自衛隊を、突如<時震>が襲った。突風が渦を巻きあげた瞬間、彼らの姿は跡形もなく消えてしまったのだ。伊庭三尉を中心とする一団は、いつの間にか群雄が割拠する戦国時代にタイムスリップし、そこでのちに上杉謙信となる武将とめぐり逢う。 <歴史>は、哨戒艇、装甲車、ヘリコプターなどの最新兵器を携えた彼らに、何をさせるつもりなのか。
戦国時代の刀剣と近代兵器、勝つのはどっち?
タイトルの通り、戦国時代に自衛隊がいたらどうなるか?というSF小説です。
最初の舞台は近代で、自衛隊の演習中に30名の自衛隊員が大量の補給物資や近代兵器などと共にふとしたきっかけで、タイムスリップをして戦国時代に飛ばされます。隊員たちは自分たちがどこに飛ばされたのかもわからないまま、ひとりの戦国武将と出会うことになります。その男は長尾景虎こと、後の上杉謙信で、隊員たちは次第に戦国時代の荒波に飲みこまれていき、戦国時代の刀剣と近代兵器の激しい闘いが繰り広げられていくことになります。(40代男性)
「天と地と」海音寺潮五郎
<あらすじ>
「これはおれの子ではないのかも知れない」為景は思った。長尾為景、63歳。妻は袈裟、21歳、その早過ぎる妊娠が、そんな疑惑を生んだ。が、生まれた赤ん坊は、輝きの強い眼を持つ男の子で、虎千代と名づけられた。のちの謙信である。虎千代は、父に疎んじられる不満を抱きつつ、百姓出の娘松江、忠臣金津新兵衛らに守られて育つ。越中・越後の争乱は絶え間無く、やがて父為景は合戦で討たれ、兄晴景が守護代を継ぐが、それを不満とする長尾俊景が兵を挙げた。
「不犯の名将」のたった一度の恋物語
名将・上杉謙信の半生を描いた物語です。早くに母を亡くし、父親からは「自分の子ではない」と思われていた不遇な幼少時代から、兄に代わって越後を統一し、武田信玄と戦う有名な川中島の合戦までのお話です。
この物語の一番の見どころは、家臣である宇佐美定行の娘・乃美とのもどかしい恋の行く末です。10代のころから知り合っている二人ですが、互いの気持ちを知らないまま、それが恋なのかそうでないのか判然としないまま時は過ぎ、読んでいるこちらとしてはもどかしくて仕方ありません。川中島の合戦を前にして謙信が病身の乃美を見舞うシーンは胸に迫るものがあります。(40代女性)
「豊臣家の人々」司馬遼太郎
<あらすじ>
殺生関白秀次、太閤様以上と囁かれた北ノ政所、桂離宮を造営した八条宮、大坂城とともに滅んだ淀殿母子など、ひとひらの幻影のような豊臣家の栄華のあとを、研ぎ澄まされた史眼と躍動する筆で現代によみがえらせ、司馬文学の魅力を満喫させる連作長篇。
秀吉をとりまく家族たちも大変としみじみわかる物語
司馬遼太郎といえば、さまざまな歴史上の有名人を描いた歴史小説や時代小説の第1人者ですが、この「豊臣家の人々」は日本史上まれな、一代で権力の頂点に立った豊臣秀吉をとりまく家族に焦点をあてた作品です。
たくさんの人物(淀君など有名人物だけでなく、秀吉の妹や弟など大河ドラマにも登場するものの、スポットライトはあたりづらい役どころであることが多い人物たちも含む)をあつかっているかわりに、一人ひとりが主人公として語られる物語は短編なので、「戦国時代を舞台にした小説は長編小説が多いので読破に時間がかかるのが難点」と考えているかたにもおすすめです。(40代女性)
「のぼうの城」和田竜
<あらすじ>
戦国期、天下統一を目前に控えた豊臣秀吉は関東の雄・北条家に大軍を投じた。そのなかに支城、武州・忍城があった。周囲を湖で取り囲まれた「浮城」の異名を持つ難攻不落の城である。秀吉方約二万の大軍を指揮した石田三成の軍勢に対して、その数、僅か五百。城代・成田長親は、領民たちに木偶の坊から取った「のぼう様」などと呼ばれても泰然としている御仁。武・智・仁で統率する、従来の武将とはおよそ異なるが、なぜか領民の人心を掌握していた。従来の武将とは異なる新しい英傑像を提示した四十万部突破、本屋大賞二位の戦国エンターテインメント小説!
秀吉の天下取りに最後まで抗った武将と家臣の奮闘記
神奈川県民且つ小田原北条が好きな自分は豊臣秀吉が好きではない。その豊臣方(石田三成)に最後までたてつき、しぶとく抵抗した成田長親とその家臣の活躍ぶりはとにかく読んでいて楽しかった。
成田家と言えば叔父の長泰が上杉謙信の小田原攻めの際、一旦は謙信に従い小田原城包囲に加わったものの途中で謙信の許しを得ず勝手に所領に戻った話もあり、併せて考えるとなかなか興味深い一族であるという面でも楽しませてもらった。(60代男性)
「忍びの国」和田竜
<あらすじ>
時は戦国。忍びの無門は伊賀一の腕を誇るも無類の怠け者。女房のお国に稼ぎのなさを咎められ、百文の褒美目当てに他家の伊賀者を殺める。このとき、伊賀攻略を狙う織田信雄軍と百地三太夫率いる伊賀忍び軍団との、壮絶な戦の火蓋が切って落とされた──。破天荒な人物、スリリングな謀略、迫力の戦闘。「天正伊賀の乱」を背景に、全く新しい歴史小説の到来を宣言した圧倒的快作。
戦国時代最強忍者 VS 地上最強のその嫁
戦国時代におけるスーパー戦隊ヒーロー並みの最強忍者。しかし、その嫁はもっと強い。その掛け合い漫才のような二人の関係性がとても面白いです。無門という最強忍者の描かれ方がぶっ飛びすぎていて、異次元の能力を発揮します。すっとぼけたキャラクター性も愛されてやまないものがあります。ラストの戦闘のキーアイテムで他の仲間を誘導して、戦わせるアイデアも秀逸でした。(50代男性)