本格派から、人が死なないライトミステリまで。おすすめ国内ミステリ小説20選
回収される伏線に、予想外のどんでん返し。読み出したら止まらない傑作のミステリー小説の数々。
本格派のミステリ小説から,日常のちょっとした謎を解決するライトなミステリー小説まで、日本の作家が描くおすすめミステリ小説20作品をご紹介します。
- 2024/3/26 「消失グラデーション」を追加
- 2024/4/18 「謎解きはディナーのあとで」を追加
「十角館の殺人」綾辻行人
<あらすじ>
十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!
いつまでも色褪せない不朽のクローズドサークルミステリ
ミステリーの入門書と言ってもいいほどに、ミステリーを読み慣れていないって方には、まず読んでほしい作品です。ミステリー好きも、キャラの名前が海外のミステリー作家をもじっているし、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」のオマージュと分かっていても、色々とトリックに驚かされる展開が多くて本当に面白いです。(30代女性)
「いなくなった私へ」辻堂ゆめ
<あらすじ>
人気シンガーソングライターの上条梨乃は、ある朝、渋谷のゴミ捨て場で目を覚ました。
誰も彼女の正体に気づく様子はなく、さらに街頭に流れる梨乃の自殺を報じたニュースに、梨乃は呆然とした。
自分は本当に死んだのか? それなら、ここにいる自分は何者なのか?そんな中、大学生の優斗だけが梨乃の正体に気づいて声をかけてきた。
梨乃は優斗と行動を共にするようになり、やがてもう一人、梨乃を梨乃だと認識できる少年・樹に出会う……。
自殺の意思などなかった梨乃が、死に至った経緯。
そして生きている梨乃の顔を見ても、わずかな者を除いて、誰も彼女だと気づかないという奇妙な現象を、梨乃と優斗、樹の三人が追う。
何が正解なのかわからない不安との戦いと人生の再スタート
有名女優とピアニストの男性と小さな男の子はなぜか周りから死んでいるとおもわれていた。実際自分たちは生きているのにと、自分たちのことを知っている人たちにあっても似ているとしか思われない。ただピアニストの男性の家族だけは生きていることに何も疑問を抱いていない。その意味を知るため、これから生きていくために元大女優の女性とあるピアニストの少年が謎を紐解いていく。一番最後には全く予想できない答えが導き出されます。(20代女性)
「白夜行」東野圭吾
<あらすじ>
1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々と浮かぶが、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と「容疑者」の娘・西本雪穂――暗い目をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別の道を歩んでいく。二人の周囲に見え隠れする、いくつもの恐るべき犯罪。だが、証拠は何もない。そして19年……。伏線が幾重にも張り巡らされた緻密なストーリー。壮大なスケールで描かれた、ミステリー史に燦然と輝く大人気作家の記念碑的傑作。
いびつで虚しい愛の物語
こんなストーリーを考えつくなんて、やはり東野さんは天才だなと思いました。汚い大人のせいでどんどんと運命が変わっていく亮司と雪穂を見ているといたたまれない気持ちになりました。そして鬼気迫る展開に、幾度となく息をのみました。刑事の鋭い洞察力にも驚かされ、どんどんと核心をついていく様子にドキドキが止まりませんでした。(30代女性)
「すべてがFになる」森博嗣
<あらすじ>
孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。
理系ミステリの完成形
孤島のハイテク研究所に、一人の天才が居た。
複数の天才が登場するする物語で、話の構成だけではなく、文中に現れるすべての会話が、高尚でした。
1996年に出版された本にも関わらず、現代のテクノロジーを示唆するような言葉が多数散りばめられている。このことから、作者である森博嗣も紛うことなき天才なのだとわかりました。
史上稀に見る密室トリックを駆使して、天才は研究所から姿を消します。読後、私が思ったのは、「この人の作品をすべて読んでみたい」でした。
そんな魅力が詰まった一つの作品であり、いつでもこの作品に触れたいです。(20代男性)
「氷菓」米澤穂信
<あらすじ>
いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実──。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ、登場!
人の死なない青春ミステリー
高校生が、日常の小さな謎を解く青春ミステリー小説です。
主人公の折木奉太郎が、同級生の千反田えるの好奇心に応えるため、重たい腰を上げて取り組みます。
そして、小さな冒険のような謎解きが始まります。
自分が高校生だった頃に見た、放課後の夕陽や運動部の掛け声、静かなクラブの部室など懐かしさと楽しさを思い出す、そんなストーリーです。人が死なないミステリーなので、ほっこりします。(40代女性)
「氷菓」のアニメ関連
「向日葵の咲かない夏」道尾秀介
<あらすじ>
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。
現実では考えられない小学生の夏休み
かなり前に読んだ小説ですが、読み終えたときの何とも言えないモヤモヤとした感情が忘れられません。
主人公は小学生なので、可愛らしい内容なのかと思っていたのですが、全然違いました。
現実ではありえないような歪な現実が次々と出てきて、読み進めるのがしんどくなりそうなときもありました。ですが、最後まで読まずにはいられない展開で、面白かったです。
読めば、忘れられない作品になるはずです。(20代女性)
「向日葵の咲かない夏」関連のテーマ
「火車」宮部みゆき
<あらすじ>
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。
カードローン破産や自己破産について勉強になりながらも一気に読ませてくれるミステリー
亡くなった妻のいとこの子に頼まれて行方不明になった彼の婚約者を休職中の刑事が探すことになります。
彼女のことを調べていくと、彼女は他人の女性に成り代わって暮らしていたことがわかります。この二人の女性ともに借金で苦しんだ過去を持つことが判明。刑事がヒロインが借金とりから逃げている現実を知ったとき「君たちは共食いしあったも同然」と思いふけるシーンが強烈です。その後、終盤に向けての盛り上がりが最高です。(50代女性)
「暗いところで待ち合わせ」乙一
<あらすじ>
視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった――。
盲目の女性と犯人の物語
盲目の女性が住む家の近くで起きた殺人事件。ある日女性は家の中で人の気配を感じるようになり、犯人と思われる男がこの家に隠れているのだと疑い始めました。
最初は恐怖を感じていましたが、男が女性に危害を加えようとする様子はなく、ただじっと息を潜めているだけでした。盲目ゆえに家の中で事故が起こりそうになった時は、男が危機を察知し助けるようになります。この男は良い人なのか、女性は頭を悩ませます。(30代女性)
「希望の糸」東野圭吾
<あらすじ>
小さな喫茶店を営む女性が殺された。
加賀と松宮が捜査しても被害者に関する手がかりは善人というだけ。彼女の不可解な行動を調べると、ある少女の存在が浮上する。
一方、金沢で一人の男性が息を引き取ろうとしていた。彼の遺言書には意外な人物の名前があった。彼女や彼が追い求めた希望とは何だったのか。
犯人捜しを中心に描かれる、2つの親子の物語
この作品は、あるカフェの女性主人を殺害した犯人を担当の刑事が探し出すというのが、基本のストーリーのベースにあるのですが、登場人物間の複雑な人間関係が描かれており、読んでいて引き込まれる内容となっています。犯人捜しの謎解きと一緒に、人間関係の謎解きの要素もあり、とてもおもしろい作品です。
また、事件を担当する刑事自身も、自分の家族の秘密を解き明かすストーリーも同時に展開されており、読んでいてとても引き込まれていき、一気に読んでしまいました。(30代男性)
「ダブル・ジョーカー」柳広司
<あらすじ>
結城率いる異能のスパイ組織”D機関”に対抗組織が。その名も風機関。同じ組織にスペアはいらない。狩るか、狩られるか。「躊躇なく殺せ、潔く死ね」を叩き込まれた風機関がD機関を追い落としにかかるが……。
影に潜むスパイたちの物語
吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞を受賞した「ジョーカー・ゲーム」シリーズの第2作目。
短編ミステリー・スパイ小説なので長編ではありませんが、ベルリン編が印象に残っているので好きです。ある日本人男性が列車事故にあい、瀕死の重体で彼がD機関のメンバーだと判明し、上司である結城中佐にだけわかる暗号を残すなど面白い作品です(40代男性)