歴史を学びながら楽しむ。おすすめ世界の歴史小説16選
ローマ人物語
作者:塩野七生
<あらすじ>
知名度のわりには、日本ではその実態があまり知られていないローマ帝国。1993年に新潮学芸賞を受賞した本書は、その帝国の歴史を人間の生きるさまから描いていこうという壮大な構想による「ローマ人の物語」シリーズ第一弾。ローマ建国からイタリア半島を統一するまでの帝国の誕生期にあたる多難な500年間に生きた王や貴族、庶民にまで焦点を当て、彼らの足跡と周辺の事情を丁寧に追っていく。
ローマは一日にして成らず。ローマ1000年の壮大な物語
ローマ建国から西ローマ帝国の滅亡までの役1000年にも及ぶ壮大な歴史で15冊にも及ぶ大長編小説です。
ただ、特定の主人公が活躍するような小説ではなく、歴史書のような記述なので、それを面白いと思えるかどうかで評価は分かれる気がします。おそらく司馬遼太郎の小説などが好きな人なら楽しめそうです。
帝国になる前の共和国時代では何度か滅びそうになったローマが、どのようにして大帝国を作ったのか、そしてその大帝国がどうして滅びたのか。最後には滅びゆくローマに諸行無常を感じることでしょう。(50代男性)
ハンニバル戦争
作者:佐藤賢一
<あらすじ>
時は紀元前三世紀。広大な版図を誇ったローマ帝国の歴史で、史上最大の敵とされた男がいた。カルタゴの雷神・バルにあやかりつけられた名はハンニバル。戦を究めた稀代の猛将軍・ハンニバルが今、復讐の名の下にアルプスを超えた。予測不可能な強敵を前に、ローマの名家出身の主人公・スキピオは、愛する家族と祖国を守り抜けるのか?
偉大な軍神ハンニバルとの闘い
紀元前三世紀、ローマ帝国(実際には帝国になる前の共和制時代)のスキピオという軍人が主人公。
ローマとカルタゴ(アフリカ北岸にあった国)の将軍ハンニバルとの壮絶な戦争を描いた作品です。当時のローマはまだ小さく、カルタゴのほうが軍事的にも文化的にもローマよりも圧倒的に格上の国でした。
そのカルタゴの将軍ハンニバルの天才的な戦の神とも言える戦略でローマは苦しめられます。
そんな状況下でもスキピオはハンニバルに立ち向かい、闘いを挑みます。
スピキオもハンニバルも知らない人でもこの小説を読み終えた後はこの二人を好きになっていると思います。(40代男性)
イヴァン雷帝
作者:アンリ・トロアイヤ
ロシア帝国の始まりは、この孤独な「雷帝」から始まった
16世紀のロシアの君主で、始めて「ツアーリ」を名乗ったイワン4世。西ヨーロッパではルネサンスからバロックに移り変わる時代でしたが、濃密な中世にあったロシアを描いた大作です。
幼くして即位した過酷で悲惨な少年期。貴族に圧倒されながら逆襲を狙い続けた青年期。改革と粛清、合理性と狂信家としての二面性、素朴で純真ながら残虐、という人物像の描写はロシアの原点を感じさせる作品です。(40代女性)
レ・ミゼラブル
作者:ビクトル・ユゴー
<あらすじ>
貧しいジャン・ヴァルジャンはパンを盗んだ罪で監獄に送りこまれて十数年ものあいだ苦しみ、さらに出所後も差別に悩まされる。しかし、ある司教に出会ったことで生まれ変わった彼は、まったくちがう人生を歩きはじめる。そして、不幸な美女ファンテーヌと出会い、彼女を救おうとするが、執拗に追いまわすジャヴェール警部が行く手に立ちふさがる!
時代に翻弄された革命時代の人びと
1800年代初頭のフランス、パリ。フランス革命後の、王政復古と共和主義のせめぎ合いの時代。
生活苦からひとかけらのパンを盗んだ事から始まる囚人ジャン・ヴァルジャンの数奇な生涯を中心にして、激動の時代に翻弄されるパリの人びとを緻密に描いた作品。ノーカット版は本筋からはあまり重要でないようなエピソードも深く掘り下げて語られており、冗長であるようにも感じられるが、現在からは想像しにくい当時のパリの風俗や街の様子、民衆の意識までもが非常にリアルに伝わって来る。(40代男性)
三銃士
作者:アレクサンドル・デュマ
時は17世紀のパリ。ルイ13世の治世。花の都で一旗あげようと希望に燃え、意気揚々と上京してきた青年剣士ダルタニャン。3人の銃士、アトス、ポルトス、アラミスにひょんな行き違いから決闘を申し込まれるが……。
固い友情で結ばれた4人の男が、悪玉リシュリユー枢機卿らの企みに挑む! あわや身の破滅かと思われた王妃の危機、謎の妖女ミラディーの陰謀――。フランスとイギリスをまたにかけ、ダルタニャンと三銃士が縦横無尽に駆け巡る! 恋と冒険に彩られた、生き生きと躍動する義侠心に満ちた男たちの物語!
銃士たちの友情と冒険物語
ルイ13世時代のフランスを舞台にした小説で、無鉄砲な主人公のダルタニャンと王に仕える三銃士との友情と冒険の含めたストーリーが面白かったです。
始めは三銃士と呼ばれるアトス・アラミス・ポトスとあまり良い出会いをしませんが、剣を交えた戦いや策略もある冒険を通して、お互いに信頼関係を深めていくのが良かったです。
ダルタニアンたちが、次々に問題や事件に巻き込まれていくので歴史小説としてだけでなく、ハラハラする冒険小説としても最後まで飽きずに読むことができます。(30代女性)
不毛地帯
作者:山崎豊子
大本営参謀・壹岐正は、終戦工作に赴いた満州でソ連軍に抑留される。
酷寒のシベリアで、想像を絶する飢餓と強制労働に11年にわたって耐え抜き、
ついに昭和31年、帰還を果たした。
その経歴に目を付けた近畿商事の社長大門の熱心な誘いに応え、
第二の人生を商社マンとして歩むことを決意。
地獄の抑留生活の傷も癒えぬまま、再び「商戦」という名の新たな戦いに身を投じる。
戦争の残酷さと人が生きることについて考えさせられる物語
第二次世界大戦、終戦工作のために満州へ行った主人公が、シベリアで抑留されたところから物語は始まります。
過酷な自然環境、劣悪な人間関係の中で10年以上も耐え抜いた様子は、まさに地獄のようで目をそむけたくなりました。それでも、主人公の強さにひかれて読み続けました。今、ロシアでまた戦争が起こっていますが、戦争について、人間について改めて考えなければいけないのではないか、そう思わせる小説です。(40代女性)