大学生に読んでもらいたいオススメ小説15選
コンビニ人間
作者:村田沙耶香
「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作
36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、
「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。
「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。
ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。
累計92万部突破&20カ国語に翻訳決定。
世界各国でベストセラーの話題の書。
本人が幸せであることが大切である
社会という平均化を強制される世界、そしてその平均を武器にするというような現実、さらにその平均という概念が人々を蝕むというパラドックス。コンビニ人間という単語は物語の大半において「平均」的なものを示唆しますが、この平均化に対応出来なくとも人間は光り輝くことが出来るということをこの作品は主張しています。
それぞれ居心地がいい生き方があって本人が満足ならそれで十分だと私は思います。
幸せは周りからとやかく言われて取得するものではないです。そんなことを教えてもらった作品でした。(60代男性)
「コンビニ人間」の関連テーマ
コンジュジ
作者:木崎みつ子
1993年9月2日未明、11歳のせれなは恋に落ちた。テレビ番組で偶然見かけた伝説のロックスター・リアンに。母に捨てられ、父から性虐待を受けるせれなにとって、その愛しい人は唯一の生きる理由となった。彼女は苦しみのたび、リアンとの妄想世界にトランスする。甘美な夢と凄惨な現実。その境界線は次第に曖昧になっていき――。過酷な現実を生きる一人の少女による自らの救済の物語。圧巻のデビュー作にして、第44回すばる文学賞受賞作。川上未映子氏絶賛!!
性虐待を受けた女性のサバイブ物語
実父からの性虐待に苦しめられる少女(のちに女性へと成長)が主人公の物語です。
重いテーマを扱っており、読んでいて辛くなることも多いのですが、それでも読後は「読んでよかった」と思える、不思議な魅力があります。
性暴力を受けた当事者の心境などが本当にリアルに描かれているので、知識としても知っておいて損はしないと思います。(20代女性)
狼と香辛料
作者:支倉凍砂
行商人のロレンスは、馬車の荷台で麦の束に埋もれて眠る少女を見つける。 少女は狼の耳と尾を持つ美しい娘で、自らを豊作を司る神・ホロと名乗った。
「わっちは神と呼ばれたがよ。わっちゃあ、ホロ以外の何者でもない」
まるで経験を積んだ大人のような話し方で、ロレンスを巧みに翻弄する少女。
「お前は、本当に神なのか?」
最初は半信半疑だったロレンスも、やがてホロが旅に同行することを承諾する。
そんなふたりの旅に、思いがけない儲け話が舞い込んでくる。
近い将来、ある銀貨が値上がりするという噂。
疑いながらも、ロレンスはその儲け話に乗るのだが……。
人間の行商人ロレンスと狼の化身ホロが、商売とそれに携わる人々との関係を通じて絆を深めていく物語
魔法は存在しないものの、長命で知力が高く、人間に化けられる不思議な力を持つ動物がいるファンタジー世界の話です。
二十代半ば男性行商人ロレンスと、麦を司る力を持つ雌の狼であるホロが出会い様々な困難を乗り越え互いに惹かれていきます。
ラノベらしく恋愛を中心に物語は描かれていきますが、狼と香辛料の肝は「困難のほとんどに商売や経済が絡んでいる」ことです。
ロレンスが仕入れた商品の価値が暴落してしまったのをどう売り抜けるか、小麦粉を作る街が税金に困っているのをどう助かるか、通貨にまつわるトラブルに巻き込まれるいどう乗り越えるか、職人組合同士のいさかいを知恵と商売の知識でどう収めるのか、などなど。恋愛模様だけでなく、人々がどのように経済を回し生活をしているのか、その中でお金がどう動いているのか、商人たちはお金にどう振り回されているのか……そういったことが丁寧に描かれた珍しいラノベです。
人の生き方と商売を、ロレンスとホロはそれぞれの視点から学んでいきます。そうして成長し愛を育んでいく二人の姿が、とても美しく尊いです。世界は違えども、二人の成長を見守ることは読者にとっても実生活にも役立つものと思います。(30代男性)
月光ゲーム 江神シリーズ
作者:有栖川有栖
夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々――江神部長や有栖川有栖らの一行を、予想だにしない事態が待ち構えていた。矢吹山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、一瞬にして陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われでもしたように出没する殺人鬼。その魔の手にかかり、ひとり、またひとりとキャンプ仲間が殺されていく……。いったい犯人は誰なのか? そして、現場に遺されたYの意味するものは何? 平成のエラリー・クイーン=有栖川有栖の記念すべきデビュー長編。
青春ミステリー作品
学生アリスシリーズの第一作目ですが、私は社会人になってから読んだので、事件に巻き込まれたくはないけれど、こんな青春を送ってみたかったって読んで思ってしまうほど、大学生らしい青春でした。それに江神さんの人柄が本当に好き。大学生時代に、あんな感じの先輩に出会っていたら、今頃もっと価値観が変わっていたかも。(30代女性)
銀の匙
作者:中勘助
土の犬人形、丑紅の牛―走馬燈のように廻る、子供の頃の思い出。それは、ひっくりえかした宝石箱のように鮮やかに彩られている。誰の記憶の中にでもある“銀の匙”。その永遠なるものを素材にした、永遠の文学を貴方の心に届けます。
少年の儚く瑞々しい思い出
この小説は中勘助の自伝的小説です。明治時代に少年期を過ごした著者の、家族や親戚、友人、先生たちとの思い出が瑞々しく描かれています。細部の描写が繊細かつ優美で、女性的な感覚で表現されていると感じるところが多くみられます。大袈裟な表現を用いたり、過度に過去を美化したりせず、淡々と、本当に少年が今まさにこの小説を書いているのではないかと思うような、独特で魅力的な小説です。(40代女性)