大学生に読んでもらいたいオススメ小説15選

2023年9月13日

大学生におすすめ小説

コンビニ人間

作者:村田沙耶香

コンビニ人間
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本人が幸せであることが大切である

社会という平均化を強制される世界、そしてその平均を武器にするというような現実、さらにその平均という概念が人々を蝕むというパラドックス。コンビニ人間という単語は物語の大半において「平均」的なものを示唆しますが、この平均化に対応出来なくとも人間は光り輝くことが出来るということをこの作品は主張しています。
それぞれ居心地がいい生き方があって本人が満足ならそれで十分だと私は思います。
幸せは周りからとやかく言われて取得するものではないです。そんなことを教えてもらった作品でした。(60代男性)

「コンビニ人間」の関連テーマ

コンジュジ

作者:木崎みつ子

コンジュジ
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性虐待を受けた女性のサバイブ物語

実父からの性虐待に苦しめられる少女(のちに女性へと成長)が主人公の物語です。
重いテーマを扱っており、読んでいて辛くなることも多いのですが、それでも読後は「読んでよかった」と思える、不思議な魅力があります。
性暴力を受けた当事者の心境などが本当にリアルに描かれているので、知識としても知っておいて損はしないと思います。(20代女性)

狼と香辛料

作者:支倉凍砂

狼と香辛料
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人間の行商人ロレンスと狼の化身ホロが、商売とそれに携わる人々との関係を通じて絆を深めていく物語

魔法は存在しないものの、長命で知力が高く、人間に化けられる不思議な力を持つ動物がいるファンタジー世界の話です。
二十代半ば男性行商人ロレンスと、麦を司る力を持つ雌の狼であるホロが出会い様々な困難を乗り越え互いに惹かれていきます。

ラノベらしく恋愛を中心に物語は描かれていきますが、狼と香辛料の肝は「困難のほとんどに商売や経済が絡んでいる」ことです。
ロレンスが仕入れた商品の価値が暴落してしまったのをどう売り抜けるか、小麦粉を作る街が税金に困っているのをどう助かるか、通貨にまつわるトラブルに巻き込まれるいどう乗り越えるか、職人組合同士のいさかいを知恵と商売の知識でどう収めるのか、などなど。恋愛模様だけでなく、人々がどのように経済を回し生活をしているのか、その中でお金がどう動いているのか、商人たちはお金にどう振り回されているのか……そういったことが丁寧に描かれた珍しいラノベです。

人の生き方と商売を、ロレンスとホロはそれぞれの視点から学んでいきます。そうして成長し愛を育んでいく二人の姿が、とても美しく尊いです。世界は違えども、二人の成長を見守ることは読者にとっても実生活にも役立つものと思います。(30代男性)

月光ゲーム 江神シリーズ

作者:有栖川有栖

月光ゲーム 江神シリーズ
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青春ミステリー作品

学生アリスシリーズの第一作目ですが、私は社会人になってから読んだので、事件に巻き込まれたくはないけれど、こんな青春を送ってみたかったって読んで思ってしまうほど、大学生らしい青春でした。それに江神さんの人柄が本当に好き。大学生時代に、あんな感じの先輩に出会っていたら、今頃もっと価値観が変わっていたかも。(30代女性)

銀の匙

作者:中勘助

銀の匙

土の犬人形、丑紅の牛―走馬燈のように廻る、子供の頃の思い出。それは、ひっくりえかした宝石箱のように鮮やかに彩られている。誰の記憶の中にでもある“銀の匙”。その永遠なるものを素材にした、永遠の文学を貴方の心に届けます。

少年の儚く瑞々しい思い出

この小説は中勘助の自伝的小説です。明治時代に少年期を過ごした著者の、家族や親戚、友人、先生たちとの思い出が瑞々しく描かれています。細部の描写が繊細かつ優美で、女性的な感覚で表現されていると感じるところが多くみられます。大袈裟な表現を用いたり、過度に過去を美化したりせず、淡々と、本当に少年が今まさにこの小説を書いているのではないかと思うような、独特で魅力的な小説です。(40代女性)